Three-Statement Model:三表連動モデル
PL・BS・CF を別々に暗記せず、1つの取引が利益・現金・財政状態を同時にどう変えるかを追います。
18分
先に読むと理解しやすい記事:
財務諸表の読み方
目次
一枚でつかむ三表
三表連動図:当期純利益は利益剰余金へ、期末現金は貸借対照表の現金へ直接つながります。純利益から営業CFへの点線は、間接法の出発点であって貸借対照表への経路ではありません。
損益計算書 (PL)
30
-20
キャッシュ・フロー計算書 (CF)
500
100
-100
80
580
貸借対照表 (BS)
580
200
210
PL と CF は一定期間に起きたこと、BS は期末に残ったものを表します。PL の利益は純資産へ入り、CF の現金増減は BS の現金を変えます。
比較する前に「期間数値か、時点残高か」を確認しましょう。
利益はどのように純資産へ入るか
200
期首利益剰余金
+ 30
累計当期利益
− 20
決議・支払配当
= 210
期末利益剰余金
売上100 − 原価60 − 償却10 = 利益30。配当20は追加の費用ではありません。
親会社帰属利益は利益剰余金に蓄積し、決議配当で減少します。OCIは通常、利益剰余金とは別の純資産項目です。修正・振替は利益剰余金に影響し得ますが、残差をすべてOCIとせず、純資産変動計算書で確認します。
Explorer は未対応の動きを残差として明示し、隠れた plug で埋めません。
なぜ利益は現金と一致しないのか
40
PL利益
− 100
売上債権の増加
+ 60
棚卸資産の減少
= 0
営業CF
未回収売上で債権が増えます。販売した在庫はBSから減り、その原価は利益に反映済みです。調整で非現金の影響を相殺します。
掛売上は回収前に利益を生み、減価償却は現金支出なしに利益を減らします。在庫や売上債権の増加は現金を使います。営業 CF は会計利益を現金の動きへ変換します。
- 売上債権増加:利益計上が回収より先
- 在庫増加:費用化より現金支出が先
- 減価償却:当期の現金支出なしに利益が減る
間接法 CF は当期利益ではなく税引前利益から始まる場合があります。原開示に従います。
現金はどのように BS へ戻るか
500
期首現金
+ 100
営業CF
-100
投資CF
+ 80
財務CF
= 580
期末現金
回収100、設備購入100、借入100、配当20。利益や償却を別の入出金として二重計上しません。
営業・投資・財務 CF が現金増減の中心です。為替、拘束性預金、定期預金、現金同等物の定義により、CF の期末現金と BS の現金及び預金が異なる場合があります。
残差は直ちに誤りではなく、現金の定義を理解する入口です。
6つの取引実験
上の連続する会社を使い、変わる表・BS科目・符号付き金額・貸借一致を予想してから解説を確認。同じ学習をExplorerへ引き継げます。
掛売上100・原価60
売上債権100を回収
設備100を購入
減価償却10
借入100
配当20を決議して支払う
実際の開示が完全一致しない理由
100
期首現金
+ 20
開示CFの合計
+ ?
未解明の増減
= 125
開示期末現金
? = 5
調査する残差
別の架空例で残差は5。為替、現金の定義、期間、範囲を原資料で確認し、証拠なしに5を「為替」としないでください。
連結範囲、非支配持分、OCI、為替、企業結合、拡張 taxonomy により簡易モデルには残差が生じます。信頼できるモデルは欠損をゼロにせず、出所と残差を残します。
- 直接開示を推計より優先
- 推計値は計算式を表示
- 欠損値はゼロではなく空欄
- 残差は可視化し追跡可能にする
業種による違い
売上債権 / 在庫 / 仕入債務
製造・小売の運転資本
貸出金 / 預金
銀行固有の金融残高
資産 = 負債 + 純資産
共通の恒等式
銀行・保険・証券・リースに一般事業会社の予測を適用しません。原表の科目を確認し、マッピング不足はゼロにしません。
BS 恒等式と現金ブリッジは共通ですが、事業モデルは共通ではありません。銀行・保険・証券は収益や金融資産負債の構造が異なり、製造・小売・建設は在庫、債権債務、設備投資が中心です。
まず共通の恒等式を学び、その後に業種別の事業ロジックへ進みます。
参照資料とモデルの範囲
参照資料は一般原則を説明します。実在企業では開示の会計基準・期間・分類に従ってください。本教材は法定報告の完全なモデルではありません。同じ会社の6つの連続取引
理解確認 0 / 6 — 解説を見ただけでは完了になりません。
独力での応用確認: 0 / 61. 掛売上 · 取引金額 100
結果を見る前に仕訳を予想
変化する行がある表はどれですか?現金増減ゼロでも間接法CFの調整を含め、すべて選択。
顧客の未払い代金はどのBS資産になりますか?符号付きの増減を予想。
参考資料(用語・前提・期首BS)
残高が一致する会社から始め、仕訳を予想し、3表の数字を追います。前の取引は次の取引に引き継がれます。
PL · 損益計算書
一定期間の売上 − 費用 = 利益。売上の認識と現金回収は同時とは限りません。
BS · 貸借対照表
ある時点の資産 = 負債 + 純資産。何を持ち、誰の資金で賄ったかを示します。
CF · キャッシュ・フロー計算書
一定期間の営業 + 投資 + 財務CFが現金残高の変動を説明します。
期首BSを見る:資産1,000 = 負債400 + 純資産600
BS · 貸借対照表
この時点の残高。| 科目 | 残高 |
|---|---|
| 現金 | 500 |
| 売上債権 | 100 |
| 棚卸資産 | 200 |
| 有形固定資産 | 200 |
| 借入金 | 300 |
| 買掛金 | 100 |
| 払込資本 | 400 |
| 利益剰余金 | 200 |
1,000 = 400 + 600
取引直前のBSは、このステップでは上の期首BSと同じです。
用語をやさしく理解する
- 発生主義
- 現金を受け取った時だけでなく、売上が成立した時に記録します。未回収分は売上債権になります。
- 利益剰余金(RE)
- 利益の蓄積から分配などを差し引いたもの。専用の現金口座ではありません。
- 運転資本
- ここでは売上債権 + 棚卸資産 − 仕入債務。その増減で利益と営業CFが異なります。
- 設備投資と減価償却
- 設備購入は現金を長期資産に変えます。償却は後の期間へ原価を配分するもので、再度の購入支払ではありません。
- OCIと非支配持分(NCI)
- OCIは通常、利益剰余金とは別の純資産項目。NCIは連結子会社の他の所有者の持分です。連結全体の利益と親会社帰属持分を混同しません。
- 残差
- 開示された期末残高から説明済み増減を差し引いたもの。マッピング不足・範囲差・誤りなどを調べる必要があり、原因を自動確定しません。