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Time2Analyze企業・財務分析

Three-Statement Model:三表連動モデル

PL・BS・CF を別々に暗記せず、1つの取引が利益・現金・財政状態を同時にどう変えるかを追います。

18分

初級

先に読むと理解しやすい記事:

財務諸表の読み方

このレッスンでできるようになること

利益と現金が異なる理由を説明する

当期利益から利益剰余金への流れを追う

3区分の CF から期末現金を照合する

6つの典型取引が三表へ与える影響を予測する

実際の開示にある口径差と未マッピング差額を識別する

1
一枚でつかむ三表

一枚でつかむ三表

三表連動図:当期純利益は利益剰余金へ、期末現金は貸借対照表の現金へ直接つながります。純利益から営業CFへの点線は、間接法の出発点であって貸借対照表への経路ではありません。

損益計算書 (PL)

当期純利益

30

配当

-20

配当は費用ではなく、利益の分配です。
① 利益は純資産へ直行
③ 点線:間接法の出発点

キャッシュ・フロー計算書 (CF)

期首現金

500

営業CF

100

投資CF

-100

財務CF

80

期末現金

580

② 期末現金はBSの現金

貸借対照表 (BS)

現金及び現金同等物

580

CFの期末現金と同じ数字です。
期首 利益剰余金

200

期末 利益剰余金

210

期首 + 当期純利益 − 配当
CFで止まります。BSへは進みません。
独立した2経路 — PL → CF → BSの一本道ではない · 実線は2本とも貸借対照表に到達します。点線は到達しません。

PLCF は一定期間に起きたこと、BS は期末に残ったものを表します。PL の利益は純資産へ入り、CF の現金増減は BS の現金を変えます。

期間の業績(PL)→ 純資産(BS)|現金の動き(CF)→ 期末現金(BS)
  • PL は業績のフロー
  • CF は現金のフロー
  • BS は一時点のストック
比較する前に「期間数値か、時点残高か」を確認しましょう。
2
利益はどのように純資産へ入るか

利益はどのように純資産へ入るか

6取引後:利益剰余金200 → 210

200

期首利益剰余金

+ 30

累計当期利益

− 20

決議・支払配当

= 210

期末利益剰余金

売上100 − 原価60 − 償却10 = 利益30。配当20は追加の費用ではありません。

親会社帰属利益は利益剰余金に蓄積し、決議配当で減少します。OCIは通常、利益剰余金とは別の純資産項目です。修正・振替は利益剰余金に影響し得ますが、残差をすべてOCIとせず、純資産変動計算書で確認します。

期末利益剰余金 = 期首利益剰余金 + 親会社帰属利益 − 決議配当 ± 確認済みの調整
Explorer は未対応の動きを残差として明示し、隠れた plug で埋めません。
3
なぜ利益は現金と一致しないのか

なぜ利益は現金と一致しないのか

掛売上:CF調整の40 → −60 → 0を追う

40

PL利益

− 100

売上債権の増加

+ 60

棚卸資産の減少

= 0

営業CF

未回収売上で債権が増えます。販売した在庫はBSから減り、その原価は利益に反映済みです。調整で非現金の影響を相殺します。

掛売上は回収前に利益を生み、減価償却は現金支出なしに利益を減らします。在庫や売上債権の増加は現金を使います。営業 CF は会計利益を現金の動きへ変換します。

営業 CF ≈ 利益 + 非資金費用 − 運転資本増加 ± その他調整
  • 売上債権増加:利益計上が回収より先
  • 在庫増加:費用化より現金支出が先
  • 減価償却:当期の現金支出なしに利益が減る
間接法 CF は当期利益ではなく税引前利益から始まる場合があります。原開示に従います。
4
現金はどのように BS へ戻るか

現金はどのように BS へ戻るか

6取引後:現金500 → 580

500

期首現金

+ 100

営業CF

-100

投資CF

+ 80

財務CF

= 580

期末現金

回収100、設備購入100、借入100、配当20。利益や償却を別の入出金として二重計上しません。

営業・投資・財務 CF が現金増減の中心です。為替、拘束性預金、定期預金、現金同等物の定義により、CF の期末現金と BS の現金及び預金が異なる場合があります。

期末現金 = 期首現金 + OCF + ICF + FCF + 為替・口径差
残差は直ちに誤りではなく、現金の定義を理解する入口です。
5
6つの取引実験

6つの取引実験

上の連続する会社を使い、変わる表・BS科目・符号付き金額・貸借一致を予想してから解説を確認。同じ学習をExplorerへ引き継げます。

掛売上100・原価60
PL

売上+100、原価−60、利益+40

BS

債権+100、在庫−60、利益剰余金+40

CF

利益+40 − 債権増加100 + 在庫減少60 = 営業CF 0

売上債権100を回収
PL

変化なし

BS

現金+100、債権−100

CF

営業CF+100

設備100を購入
PL

購入時は変化なし

BS

現金−100、有形固定資産+100

CF

投資CF−100

減価償却10
PL

費用+10、利益−10

BS

固定資産−10、利益剰余金−10

CF

利益−10 + 非現金償却10 = 営業CF 0

借入100
PL

借入時は変化なし

BS

現金+100、借入金+100

CF

財務CF+100

配当20を決議して支払う
PL

変化なし

BS

現金−20、利益剰余金−20

CF

財務CF−20

取引PLBSCF
掛売上100・原価60売上+100、原価−60、利益+40債権+100、在庫−60、利益剰余金+40利益+40 − 債権増加100 + 在庫減少60 = 営業CF 0
売上債権100を回収変化なし現金+100、債権−100営業CF+100
設備100を購入購入時は変化なし現金−100、有形固定資産+100投資CF−100
減価償却10費用+10、利益−10固定資産−10、利益剰余金−10利益−10 + 非現金償却10 = 営業CF 0
借入100借入時は変化なし現金+100、借入金+100財務CF+100
配当20を決議して支払う変化なし現金−20、利益剰余金−20財務CF−20
6
実際の開示が完全一致しない理由

実際の開示が完全一致しない理由

残差は調査の出発点。原因名ではない

100

期首現金

+ 20

開示CFの合計

+ ?

未解明の増減

= 125

開示期末現金

? = 5

調査する残差

別の架空例で残差は5。為替、現金の定義、期間、範囲を原資料で確認し、証拠なしに5を「為替」としないでください。

連結範囲、非支配持分、OCI、為替、企業結合、拡張 taxonomy により簡易モデルには残差が生じます。信頼できるモデルは欠損をゼロにせず、出所と残差を残します。

  • 直接開示を推計より優先
  • 推計値は計算式を表示
  • 欠損値はゼロではなく空欄
  • 残差は可視化し追跡可能にする
7
業種による違い

業種による違い

同じ恒等式でも、事業の説明は異なる

売上債権 / 在庫 / 仕入債務

製造・小売の運転資本

貸出金 / 預金

銀行固有の金融残高

資産 = 負債 + 純資産

共通の恒等式

銀行・保険・証券・リースに一般事業会社の予測を適用しません。原表の科目を確認し、マッピング不足はゼロにしません。

BS 恒等式と現金ブリッジは共通ですが、事業モデルは共通ではありません。銀行・保険・証券は収益や金融資産負債の構造が異なり、製造・小売・建設は在庫、債権債務、設備投資が中心です。

まず共通の恒等式を学び、その後に業種別の事業ロジックへ進みます。

参照資料とモデルの範囲

参照資料は一般原則を説明します。実在企業では開示の会計基準・期間・分類に従ってください。本教材は法定報告の完全なモデルではありません。
実際の開示で確かめる

デモ企業のプロ向け三表モデルを開きます。教材内の「Explorerで続ける」は、選択中の取引を学習モードで開きます。

8
実践 · 同じ会社の6取引

同じ会社の6つの連続取引

理解確認 0 / 6 — 解説を見ただけでは完了になりません。

独力での応用確認: 0 / 6

1. 掛売上 · 取引金額 100

掛売上金額の60%を出庫した在庫原価とします。
期首BSから始めます。金額は架空の学習用単位で、以降のステップでも同じ数字を使います。

結果を見る前に仕訳を予想

変化する行がある表はどれですか?現金増減ゼロでも間接法CFの調整を含め、すべて選択。

顧客の未払い代金はどのBS資産になりますか?符号付きの増減を予想。

Explorerでこの学習を続ける
参考資料(用語・前提・期首BS)

残高が一致する会社から始め、仕訳を予想し、3表の数字を追います。前の取引は次の取引に引き継がれます。

PL · 損益計算書

一定期間の売上 − 費用 = 利益。売上の認識と現金回収は同時とは限りません。

BS · 貸借対照表

ある時点の資産 = 負債 + 純資産。何を持ち、誰の資金で賄ったかを示します。

CF · キャッシュ・フロー計算書

一定期間の営業 + 投資 + 財務CFが現金残高の変動を説明します。

6つの例題は練習進度です。応用確認は新しい金額の問題を、解説・誤答前に正解した場合のみ記録します。再挑戦は別問題を生成してください。専門資格ではありません。

期首BSを見る:資産1,000 = 負債400 + 純資産600

BS · 貸借対照表
この時点の残高。
科目残高
現金500
売上債権100
棚卸資産200
有形固定資産200
借入金300
買掛金100
払込資本400
利益剰余金200

1,000 = 400 + 600

取引直前のBSは、このステップでは上の期首BSと同じです。

この会社の開示で練習
9
用語をやさしく理解する

用語をやさしく理解する

発生主義
現金を受け取った時だけでなく、売上が成立した時に記録します。未回収分は売上債権になります。
利益剰余金(RE)
利益の蓄積から分配などを差し引いたもの。専用の現金口座ではありません。
運転資本
ここでは売上債権 + 棚卸資産 − 仕入債務。その増減で利益と営業CFが異なります。
設備投資と減価償却
設備購入は現金を長期資産に変えます。償却は後の期間へ原価を配分するもので、再度の購入支払ではありません。
OCIと非支配持分(NCI)
OCIは通常、利益剰余金とは別の純資産項目。NCIは連結子会社の他の所有者の持分です。連結全体の利益と親会社帰属持分を混同しません。
残差
開示された期末残高から説明済み増減を差し引いたもの。マッピング不足・範囲差・誤りなどを調べる必要があり、原因を自動確定しません。